褐色時計の随筆
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「ミニッツとの遭遇」

第1話 「誓い」

深夜、デートから帰宅した私に親父が、「なんか時計の出てる、おもろそうなテレビやってるで」と声をかけた。

「ワーズワースの庭で」というタイトルの番組だ。

チャンネルを合わすと、高級そうな腕時計紹介が次々と映し出されていた。
雑誌でしか見たことのなかった、トゥールビヨンの幻想的な動き。
有名なユリスナルダンのガリレオガリレイも、動いている所を見たのはこれが初めて。
興味深い映像が続いた。
そして、ミニッツリピータ。

「なんて、澄んだ綺麗な音や...」

小さな小さなハンマーが、一生懸命ゴングを叩く姿。
少し現実離れしたような、澄んだ音がスピーカーから流れる。

すっかり魅了され、番組終了後も興奮冷めやらぬ私は、

「本物を聞いてみたい! いや、いつかは本物を手に入れたるんやぁ! 」

と心に誓うのだが、なんせ定価は数千万!

「無理やろなぁ、もしそんな金が手に入っても、普通家でも買うで」

という、もう一人の冷静な自分の突っ込みも同時に入るのだった...

by タラゴーム9番



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