オーデマ・ピゲ



1876年にスイスのル・ブラッシュでふたりの優れた時計職人、ジュール・ルイ・オーデマとエドワール・オーギュスト・ピゲが出会った時からその歴史は始まりました。
1882年にはふたりはオーデマ・ピゲ社として企業登記し、ロンドンとパリに代理店を開設しました。

オーデマ・ピゲの名前を世界的に知らしめたきっかけは1880年にパリで開かれた第10回世界万国博覧会でした。出品した様々な時計の中でも特に日付、曜日、ムーンフェイズは勿論、ミニッツリピーター、スプリットセコンドクロノグラフ、永久カレンダーといった複雑時計の粋をひとつの時計に集約したグラン・コンプリカシオンポケットウォッチによりその最高水準の時計技術を世界的に証明しました。

この成功により一流メーカーの仲間入りをし、その後も次々と新しい発想の時計を作り出しました。
また、オーデマ・ピゲでは創業当時から一貫した独自の技術養成プログラムを導入しています。

通常、時計職人になるには時計職人養成学校で4年間の基本的な訓練を受けていますが、同社では極薄ムーブメントの作業に携わるにはその後に1〜2年、複雑時計のムーブメントではさらに10年の訓練がなされます。
その伝統は技術とともに企業風土としても脈々と流れています。
それはスイスの時計メーカーの中でも唯一、創業当初からオーデマ家とピゲ家を中心とした家族経営を母体としていることです。

現在は創業者のひとり、ジュール・ルイ・オーデマのひ孫であるジャスミン・オーデマが取締役を務めています。

●現在までの歴史を紐解いてみると次のとおりです。

1890年: ミニッツリピーターと永久カレンダーがついている女性用懐中時計をベルリンで発売。
1891年: ミニッツリピーター付の世界初の最少ムーブメントの発表。
1892年: ジュール・ルイ・オーデマが考案した文字盤付き割剣クロノグラフをニューヨークの米国総代理店ウィットナーに納入。
同年、この種では初めてのミニッツリピーター付きの腕時計2416番をビエンヌのルイ・ブランド&フレーのために製作。
1906年: オーデマ・ピゲの署名があるミニッツリピーター付きの最初の女性用腕時計を製作。
1911年: ミニッツリピーターとセンターに3針がつている女性用腕時計が完成。
1913年からベルリンで販売される。
1914年: ロンドン上空の星図を示す、超複雑懐中時計の製作を開始。1920年にジュネーブ時計展に出品され、1921年にスミス&サンの署名を入れて発売。
1915年: 5分リピーター付きの世界最少の時計ムーブメントを製作。リピーター機構の直径14.0ミリ、75個のネジを含め合計250個の部品で作られる。
1924年: 永久カレンダーとムーンフェイズ表示の腕時計第一号を公開。同年、文字盤の小窓にアラビア数字で時間をあらわすジャンピングアワーを世界で初めて発表する。
1925年: 世界で一番薄い時計が完成。ムーブメントの厚さはわずか1.32ミリ。
1934年: 手彫りのスケルトン懐中時計の第一号を製作。
1946年: 腕時計用の熱さ1.64ミリの世界で最も薄いムーブメント、キャリバー2003を発売。
1950年: 永久カレンダー腕時計の第一号が完成。
1960年: 世界で一番薄い女性用腕時計を製作。
1967年: 暑さ2.45ミリの一番薄い自動巻ムーブメント、キャリバー2120を発表。
1970年: カレンダーモジュール付きの世界で最も薄い自動巻ムーブメント(厚さ.05ミリ)を発表
1972年: 世界最初の高級スポーツ時計として「ロイヤルオーク」を発表。
1978年: 角型永久カレンダー腕時計を発売。永久カレンダー付きの自動巻ムーブメント2120QPを搭載した厚さわずか3.95ミリの複雑時計発表。
1986年: 世界初のトゥールビヨン脱進機付きの極薄自動巻腕時計を発表。厚さは4.8ミリ
1989年: 永久カレンダー付きの最少自動巻ムーブメントを発表。
1990年: 自動巻機構のキャリバー2003を開発したことにより、永久カレンダー付きの世界で最も薄いムーブメントの製作が可能になる。
1992年: 自動巻でミニッツリピーター、クロノグラフ、永久カレンダー機能を搭載した「トリプルコンプリカシオン」を発表する。
1995年: オーデマ・ピゲが創業120周年を記念し、オーデマ・ピゲ博物館を創業時に工房としていた土地に建立する。
1996年: トリプル・コンプリカシオンでは実現できなかった割剣を搭載することにより、遂に腕時計で複雑時計の頂点である「グラン・コンプリカシオン」を世界で初めて作り上げる。


■代表製品

●ミレネリー

20世紀が終わり、3度目のミレネリーを迎えるにあたり、オーデマ・ピゲは他に類をみない時計を作り上げたいと考えていました。
それは、オーデマ・ピゲ有名にした複雑時計の技術の粋を集め、機能別のモデルを世に送り出すことでした。
デザインも過去と未来のミレネリーを祝福する意味からも普遍性と革新性を持ち合わせたコンセプトを取り入れるものでした。

このような製作方針のもとにミレネリーは生まれたのです。
ミレネリーの誕生により、オーデマ・ピゲのデザイナーは社内では良く知られている"由緒ある斬新さ"を改めて証明したことになりました。
また、ミレネリーはオーデマ・ピゲ期待の新製品であり、その独自のオーバル(卵)型は永遠にその独創性を期待していることを象徴しています。


●オペラ

マリア・カラス、ミレラ・フレーニ、アグネス・バルッア。世界に名高いオペラ歌手はそのエネルギー、透き通った音色、そして彼女たちの歌声という"楽器"を操ることにより、歴史に偉大な軌跡を残しています。
ジュエリーウォッチのオペラはその美しい歌声に敬意を表し、同様に時計製造の伝統として受け継いだエネルギー、明確さ、そしてその"遺産"を今の時代に生かすことによって作り出されました。

オペラはイエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールドの素材にIFトップのダイヤモンドがセットされています。
また、エレガントなケースのギルダーの文字盤にはマザーオパールが、インデックスとカボションにはエメラルド、サファイヤ、ルビーが使われています。