ブランドガイド




よい時計をお探しの方に
日常生活を見回してみて、「毎日使って30〜100年以上の耐久性をもつ機械(道具)」なんて見つかるでしょうか?
包丁や金槌などの単純な道具ならいざ知らず、複雑な構造をしたものでそんなに長持ちするものはほとんど見当たりません。
でも、時計がそうなのです。
(もちろん、それなりによい時計でなければなりませんが)
時計は、いつも身につけているので過酷な条件にさらされているにも関わらず、ちゃんと手入れを怠らなければ実に長持ちします。

もし、あなたがよい時計を選び、愛情をもってそれと付き合っていけば、購入後数十年にわたってあなたの人生のよき伴侶として共に時を刻んでくれるでしょう。
何十年も使い込んだ時計は、まるで自分の体の一部のように思えてくるものです。

子供の頃、「おじいさんの時計」という童謡を聴いたことはありませんか?
「100年経ってもチクタクチクタク、おじいさんと一緒にチクタクチクタク・・・・」
時計が、まるでおじいさんの一番仲の良い友達であったかのように唄われている心温まる童謡です。
古今東西の小説や民話をひも解けば、時計にまつわる話が多く存在していることに気づくことでしょう。
そのどれもが時計に対する不思議な気持ち、愛情が伝わってくるもので、人と時計との深いつながりを感じさせます。

時計趣味ものめり込むと奥が深く、知識が増えるにつれて数多くの時計が欲しくなってきます。
時計が集まってくると、お気に入りのコレクションにして鑑賞する楽しみもあります。
でも、本当は「一番気に入っている時計を一個」愛用し続ければよいのです。
持ち主に変わらぬ愛情を注がれ続けた時計は、きっとあなたのそばでたくさんの素晴らしい思い出をつくってくれることでしょう。


何を選べばいいの?
お店に行くと非常にたくさんの種類の時計があり、これから購入する人はきっと迷ってしまうことでしょう。
価格も数百円〜数億円まで幅広く、デザインも実にたくさんの種類があります。
構造的にみても千差万別です。
また、お店の人や友人など、いろいろとアドバイスしてくれる人もたくさんいることでしょう。
でも、その時計を使うのは自分なのです。
購入する人は、状況をよく観察した上で「明確な方向性」を持たなければいけません。
あらゆる好みに合う時計は存在しないので、このガイドでは、以下の時計を探している方のみのご参考になるようなことを記述します。
この条件よりも他の時計を探していらっしゃる方には、あまり参考にはならないかもしれません。


条件:

・少なくとも10年以上は使用可能
・少なくとも10年以上は修理可能
・ブランドとして歴史のあるもの
・長期にわたって愛用されている実績のあるもの
・多くの時計愛好家に高く評価されているもの

※注
このガイドでは何社かの時計メーカーを挙げていますが、ここに含まれていない時計メーカーでも優れた製品を作っている例は数多くあります。


●「クォーツ時計」
時計にはクォーツ時計と機械式時計があります。
クォーツ時計とは、一般に広く使われているもので、多くの場合電池によって動作しています。
一度電池交換すれば1年〜10年も動き続け、時間も正確です。
概して価格は機械式時計に比べて安く、メンテナンスも容易です。
ムーブメント(時計内部の機械)は、回路基板を使用しており、この部分が壊れると交換しなければなりません。
メーカーによっては製造打ち切り後のスペアパーツが十分に用意されていないことがあり、そうなると修理不可能になってしまうことがあります。
こういったクォーツ時計の性質をふまえた上で、特に挙げられるのは、
SEIKOのグランドセイコーです。
価格は約10万円からあり、世界的にみてもクォーツ時計として屈指の性能を誇っています。
ムーブメントに使われている地板や歯車など、特に耐久性を重視した設計です。

「機械時計」

機械時計はクォーツに比べると時間が不正確です。
一日につき、数秒〜数十秒、アンティークなどではそれ以上の誤差が出ます。
この誤差の大きさが気になる人は機械時計を選ばない方がよいでしょう。
また、数年に一度オーバーホール(分解掃除)を行うことが推奨されており、それにかかる金額は電池交換の比ではありません(数万円)。
このランニングコストが気になる人も機械時計を選ばない方がよいでしょう。

機械時計には、毎日リューズをジリジリと手で巻き上げることによって動く手巻時計、腕に付けているだけで時計内部のローターが回転し、ゼンマイに動力を蓄えて動く自動巻時計があります。
これらは歯車やゼンマイ、アンクル、テンプなどの機械部品を人間の手で組み立てたものです。
クォーツ時計に比べると電気的なものではなく、人の動きを動力源としているのが特徴です。
製造には職人的技術が必要とされ、一流メーカーのものは世界中の時計愛好家から高い評価を得ています。
時計界の歴史に名を残している逸品は、ほとんどの場合機械時計です。
優秀な機械時計のほとんどはスイスかドイツで作られています。

※注
機械時計については
「メカニズムの解説」、
「故障の原因」

「ドキュメント」でも解説しています。

手巻の時計は毎日手で巻き上げなければなりませんが、構造が単純なので故障しにくく、メンテナンスの費用が自動巻きに比べて安いと言えます。
自動巻き時計は巻く手間がなく腕に付けているだけで動き続けるので便利です。

機械時計ムーブメントは作るのにコストと時間、そして熟練した労力が必要です。
一から設計して新しい機械を生み出すのに日本円にして数億円以上の費用がかかってしまうので、多くの時計メーカーは専門に作っている会社からムーブメントを購入してきます。
ムーブメント供給を行っているメーカーとして代表的なものでは、
エタ、フレデリック・ピゲ、レマニア、ジャガー・ルクルト、ジラール・ペルゴ(いずれもスイス)などがあります。
これらのムーブ製造メーカーは、機械時計の本場であるスイスの名に恥じない高性能の機械を生み出し、その多くは有名ブランドの時計に使われています。
また、時計メーカーの中には他社からムーブメントを購入する以外に、自社で一貫して製造する技術をもったところもあり、これらは特に「コンプリートメーカー」と呼ばれ、完全に自立した機械時計メーカーとして認められています。

一から自社で開発した機械式ムーブメントを自社の製品に使っているメーカーとして知られているところでは、
パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、バセロン・コンスタンチン、ロレックス、ジャガー・ルクルト、ゼニス、IWC(いずれもスイス)、ランゲ&ゾーネ(ドイツ)などがあります。
これらのメーカーの時計は安くても20万円前後、上は数億円の時計まで作っており、文字どおり「長期の使用に耐えうるハイクオリティーな製品」を作っています。
ハンドメイドの高級時計としては他にも、ブレゲ、ブランパン、ユリス・ナルダン、ピアジェ(いずれもスイス)などが知られています。

また、スポーツタイプなどの優秀な時計作りで知られている、オメガなどの製品も長く愛用できる一品と言えます。

 


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