日本の時計市場の特異性
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日本の時計市場の特異性
   







 


お金持ち大国日本といわれていますが、多くの人が高額時計を購入できないのはみなさまのお感じになられることだと思います。
しかし、高額時計の輸入量は世界的に見ても日本は高く、やはり売れるところでは売れているのです。
高額商品とはどういうところでどういう人が購入しているのでしょうか?
大手アンティークショップやディスカウンターでも高額商品は売れます。
しかし、一番本数が多いのはやはり百貨店でしょう。

百貨店には店頭販売と外商販売という販売形態があります。
店頭販売とは文字どおり店頭で販売することであり、お客が店に行って買い物をすることです。
これに対して外商販売(外販)とは、よく買い物をする有力顧客の自宅に通い、あるいは、ホテルなど特別な会場を用意して販売することです。
売上の割合をみてみると、商品が高額になるほど店頭よりも外販でよく売れるようになります。
店頭と外販の販売比率が 1 : 9 という高級ブランドもあるほどです。
外販の売上の方が遥かによいブランドであれば、当然外販に力が入ります。

外販を成功させるには、顧客とのコミュニケーションを深めることに努め、「かゆいところに手が届くような」販売活動を行うことがよいとされています。
人を楽しませる個性をもった外商員は顧客からの受けも良く、つきあいも長期にわたることがあります。
ある顧客に特定の外商員が5年〜10年以上担当し続けることも稀ではありません。
外商員はこのようにして、お客にかわいがられる販売員になることを目指し、日々精進します。
一方店頭では、顧客第一主義は守られているものの、少し様子が違ってきます。
はじめて会った店員にあまり馴れ馴れしくされると不快に思う人もいることでしょう。
店頭販売員は正確に仕事をこなすこと、お客に失礼のないよう丁重に接することを第一としています。

さて、ヨーロッパなどの諸外国の販売形態を見てみましょう。
高額ブランドを購入したいと思った人はブティックに行きます。
ブティックには鍵がかかっていることがあり、日本のようにちょっと冷やかそうと思っても入れてくれないことがあります。
本当に買う意志のある人だけが、重々しいドアを開けてもらい奥の金庫から商品を出してきてもらいます。
全然買う気のない人には露骨に嫌な顔をされることもしばしばあります。
海外で買い物をした日本人が「なんでこんなに入りづらい雰囲気なんだろう?」と思うことはよくあるのではないでしょうか。

そういった訳で日本の市場では、お客は、良く言えば「暖かくされて」、悪く言えば「過剰サービス」のもとで買い物をします。
特にこの外販制度は、諸外国からよく「理解に苦しむ」と指摘されるところです。

サービスが良質なのはよいことではないか、と感じる方もいらっしゃることでしょう。
しかし、そのサービスを実現するために膨大なコストがかかっていることも事実です。
多数の外商員や店頭販売員に支払う費用、商談で発生する経費、収容する建物など、人件費や地価の高い日本で良質のサービスを実現しようとするとコスト高になるのは明らかだと思います。
このコスト高は当然定価に上乗せされています。

これが我が国で、高級輸入ブランドが諸外国に比べて高額になりがちな主な理由です。
しかし、世界の国境の垣根がとれて市場もグローバルになりつつある今、日本独特な商売はパッシングにあっています。
江戸時代の呉服屋がはじめたと言われる日本独特な外販制度も、ここへきて大きな見直しがせまられています。
この流れは今後さらに拡大してゆき、旧態とした商売形態を続けている多くの販売者が淘汰されていくと予想されています。
百貨店も突出した革新性と個性を持たところがないと、生き残れなくなるかもしれません。

消費者は当然、「価格は安く、サービスは厚く」されることを望んでいます。
今までの日本市場はこの「サービスは厚く」を最優先した結果、コスト高を生んでしまいました。
また、「厚いサービス」は消費者に安心感を与えるため、商品選択における依存性を生み出しました。
商品のことをよく知らないでも高いお金さえ支払えば間違いをつかまされることはまずありません。

さて、そういう市場の動きを目の当たりにして、消費者はどのようにしていけばよいのでしょうか。

今後の消費者の向かう方向は、「商品のことを詳しく調べ、よく知る」というのが一番いいのではないでしょうか?
商品のことをよく知っていれば、自らの見識で間違いをつかむこともなくなり、その安心感を得るために過剰サービスを受ける必要もなくなります。
その上で、自分がサービスを得たいと思うのであれば付加的な支払いを行えばよいのです。
つまり、選択権は自分にあり、臨機応変にサービスを選ぶことができるのです。
従来までの販売者に依存する消費者ではなく、自立した消費者になることができれば、(当然責任も重くなりますが)視野の広い見方ができるようになり、消費の可能性も広がってくることでしょう。




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