カフェテリア・カビノチェ
特選ディスカッション


日差の測りかた


●mm氏の意見

さらにもう一つ質問です。日差はどのようにして計るのでしょうか?
どなたか、お教え願えますでしょうか?

●上森氏の意見

お問い合わせいただきました日差の測り方について、ご紹介いたします。

「日差の測り方」
多くの機械時計には姿勢差という誤差が生じています。
姿勢差とは、時計の姿勢(向き)によって誤差の度合いがばらつくことです。
ある時計が、
文字盤上の時には進み、文字盤下にすると遅れる。
リューズが下になった時と、リューズが上になった時では進み具合が違う。
というようなことになると、その時計は、姿勢差があるとされます。
なぜ姿勢差が起こるかということについては、以下のページで解説してあります。
http://www.dac-inc.co.jp/~watch/kikai/siseisa.htm
そういうわけで、厳密に日差を計測しようと思うと、この姿勢差を考慮した上で計測する
必要があります。
検査局などでは、以下の5姿勢で検査されます。
この5姿勢は、時計を携帯している時にもっとも多くとられる姿勢なのです。

1 ) 文字盤上
2 ) 文字盤下
3 ) 3時下(リューズ下)
4 ) 12時下
5 ) 9時下(リューズ上)

以上の各姿勢で何日間(10日〜14日)かかけて誤差が記録されます。
記録する時間も決められており、こうやって厳密な誤差を測定するのですが、
なかなか大変です。
ご自身で使う上での大体の誤差を知りたいのであれば、次のやり方を推奨
いたします。

お好きな日のお好きな時間に、ゼンマイを巻き上げます。
手巻時計なら一杯まで巻き、自動巻きなら手で30回以上リューズを巻き上げます。
そして、時計の時間を時報にぴったりと秒まで合わせます。
(たとえば、ある日の夜の10時ジャスト)

翌日、決められた時間(夜の10時ジャスト)に誤差をはかり、
記録します。(プラス8秒、あるいはマイナス2秒など)
記録が終わったらゼンマイを巻き上げます。
このとき、もし誤差を生じていても合わせ直さないでください。

そのまま次の日も使い続けます。
そして、決められた時間になったらまた誤差を記録し、リューズを巻き上げます。
(誤差はだんだん蓄積されていきます)

これを繰り返し、1週間後の誤差に注目してください。
1週間後の誤差がプラス60秒であれば、
それを7で割った答え、プラス8.57秒がその時計の日差とみなして間違いない
と思われます。
1週間も計測を続ける理由は、日々の誤差のばらつきを平均化して、より正確な
誤差を計測するためです。