[ ジャケ・ドロー製作工程 ]

01.ケース
ケース素材には、18KYG(品番表記はJA)、18KWG.WO(JB)、18KRG(JR)、ステンレス・スティール(JS)がある。
すべてのケースは、La-Chaux-de-FondsにあるCalame&CIES.A.にて製作されており、ケースサイドには「ゴドロン(Godron)」という独特の装飾が施されている。

このケースの製作方法とは、あらかじめ斜めにカットされた歯がセットされたリボルバー式の旋盤を、ミドルケースとなる部分のサイドラインにあて、回転運動を与えることによって、ゴドロン装飾がエングレープされていく。
回転運動によるケースの変形、金属内部の構造変質を防ぐため、加熱をしながらこの工程が何度も繰り返される。
また、ラグはすべて後付けである。

なお、この会社はJaquet-Drozのほかに、Breguet,Vacheron Constantin,Corum,Girard Perregaux等のケースも製作している。


02.ダイアル
●02−1.パイヨン(paillon)

もともとは「金粉」を意味するフランス語であり、18世紀より伝わる約2,000種類にわたる定型の金粉あるいは金片(星型、菱形など)を重ねては高温で焼き上げることによって、糸状の装飾を作る。

これは18世紀に高級時計で一世を風靡した装飾形態であり、Pierre Jaquet-Drozも好んでこれを使用した。
現在のところ、このパイヨンを所有しているのは、スイスLausanne郊外にアトリエを構えるMme.Anita Porchetのみであり、彼女にしかできない特殊技法である。

まず、レディス・パイヨン(ref.9585)のパイヨン・エナメル・ダイアルは以下の工程を経て完成する。

1)ベースとなる放射状のギョウシェ仕上げが施された金属板(文字盤のベース)を酸で洗い、ブラッシングをかけ、油脂分を取るために炉で熱する。

2)水で溶いたブルーの和琴(うわぐすり)を塗り重ね、約800度の炉で10回程度の焼成をする。

3)パイヨンをエナメルの層と層の間に飾り付ける。

●02_2.ポーセリン(Porcelain)


いわゆる陶製の文字盤である。
厳密に言えばガラスの一種であるエナメルとは異なり、カオリン(磁器土)という石質の陶土を、銅製の原版に塗り、1,200℃以上の高温で焼く。
その後に釉薬をかけて仕上げたもの。

ただし、これは陶器なので壊れやすく、焼きあがった後に歪があると組み立てが不可能になってしまうなど、完成率はきわめて低い。

 



Copyright(C) Digital Art Creators ,INC. Allrights Reserved