買った時計の革バンドの穴が足りなくて、本体が腕でくるくる回ってしまうことがあります。
そこで追加の穴を開けてもらうことになるのですが、これがけっこう大変な作業だったりするのです。
時計店の中には穴開け工具をもっていないところがあり、そういう場合はメーカー(または輸入元)に出して穴を開けてもらうことになります。
でも、送る作業もありますので、追加の穴を1個開けるだけで1週間から2週間かかるなんてこともあるのです。
また、例えその時計店が穴開け工具をもっていても、とても高価な時計についている革だったり、革の中に芯が入っている厚手のものだったりするとやはりメーカー送りです。
店などでよく使用されている穴開け工具は、ホッチキスを大きくしたようなもので、目分量で開けるのですが、これが困ったことになかなか正確に開けられないのです。
「とにかく穴が開けばよい」
というのならこれでいいかもしれませんが、
「大事な時計、ぜひ正確に開けて下さい」
ということであれば話は別です。
そこで、「そういうことであれば自分で開けるワザを身につけたい」という人に以下の”正確な穴開けマニュアル”を捧げます。
”革バンドの正確な穴開けマニュアル”
用意するもの
@ノギス(金属製のもの)
Aかまぼこ板
Bポンチ
Cハンマー
Dやわらかい布
ポンチは穴の径の種類がたくさんありますが、まず 1.5mm
のものを買いましょう。

たくさんの穴の径を揃えればいろいろな大きさの穴を開けることができます。
ただ、小さすぎる穴は、より太い棒などを挿し込むことによって大きくすることができますが、大きすぎる穴は小さくすることが出来ません。ご注意ください。
●手 順
以下の作業は、革バンドの表面(光沢のあるほう)から行ってください。
裏面(時計の裏ブタ方向の面)から行うと失敗する危険があります。
まず、今すでに開いている穴と穴の距離をノギスで測ります。
そして、ノギスについているネジでその寸法を固定し、これから開けたい穴の位置をマーキングします。
(正確に行ってください)

マーキングの方法は、ノギスの刃の先を強く押し付けるのです。
革バンドのマーキングされたところは、すこし凹みます。
革バンドの下にかまぼこ板を敷いて、時計のガラスの上にやわらかい布を被せて保護します。

ポンチの穴の中心と革バンドのマーキングされた凹みが合うようにして、ポンチを強く押し付けてみます。
そうすると、革バンドにポンチの円形の痕がつきます。
革バンドを正面上から見ながら、その円形の痕が理想的な位置にあるかどうかもう一度確認します。
これを繰り返してポンチの打ち込み位置が決まったら、ハンマーで一挙にポンチを打ち込みます。
ポンチの位置が決まったら穴を打ち抜くまで絶対に革から離さないで下さい。
ハンマーはかなり力を入れて叩いて下さい。

革を打ち抜いたかどうかを確認するために、革の裏面を見ます。
ちゃんと打ち抜ければ裏面からポンチの先が出てきます。
穴が開けばポンチを抜き、穴の開き具合を確かめます。
もし、少し小さすぎるように感じたら、バネ棒外しの軸などを差し込みながら穴を広げます。
この作業の時に、穴の位置を少しだけずらすこともできます。
いかがですか?
ちょっと勇気がいる作業かもしれませんが、うまく出来るようになると世界が広がりますよ。
ぜひ古い革バンドなどを使って練習してみてください。
ご検討を祈ります。
※注
革バンドの穴開けはご自身の責任の元におやりください。
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