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時計のメタルバンドは腕にフィットしたちょうどよい長さに合っていないと気持ちの悪いものです。
ほとんどの場合、メタルバンドは買った時にコマ外しを行っているので、その後に長さを調節し直すことはありません。

ただ、ちょうどよいバンドの長さというのは、しばらく使ってみなければわからないことも多く、お店でコマ外ししてもらったときにはぴったりだと思っても、後になって「きつすぎる」とか「ゆるすぎる」と思うこともあるでしょう。

買ったお店にもう一度持っていけば直してもらえますが、出張などの出先で買ったものとか、プレゼントでもらったものだとなかなかそうもいきません。
あるいは、買った当初はぴったりでも、太ったり痩せたりして腕の太さが変わることもあるでしょう。

時計愛好家としては、ぜひ自分でコマ外しができるようになりたいものですね。
さて、このコーナーではメタルバンドの性質をご説明します。
安全にコマ外しを行うにはどうしても知っておかなければいけないことがあるのです。

これから自分でコマ外しすることをお考えの方は、ぜひお読みになってメタルバンドの性質をよくご理解ください。


●使い古したメタルバンド

技術者が使い古した時計のメタルバンドのコマ外しをやるときには大変慎重になります。
なぜなら、そのバンドの内部が錆付いている可能性があるからです。

18金などのバンドであれば錆つくことはありませんが、ステンレスバンドは要注意です。
バンドの駒を止めているピンやネジが錆付いていると、一度ぬいてしまうと、錆びがボロボロ落ちてきて、もう一度入れなおしてもぴったりと止まらないことがよくあります。
しかも、錆付いたピンがちゃんと元に収まるかどうかは、抜いてみなければわからないのです。

ひどい時計になると、ピンを抜いた瞬間に完全にばらばらに崩壊してしまい、元に戻せなくなるものもあるのです。

これは、無名ブランドの安時計を、何年も使用したものに起こりがちな事故です。
そうなってしまうと、新しい駒に入れ替えるか、バンド自体を交換しなければいけなくなりますが、そういういいかげんな時計に限って純正パーツが入手できなくなっています。

運良く代用パーツが使えればよいですが、特殊な形状をしているバンドで代用品も使えない場合は修理不可能になります。

「コマ外し」という一見なんでもないようなこの作業は、実は事故を引き起こす危険性のある大変な作業なのです。
したがって、長年使用した時計を時計ショップなどに持っていき、「すみません、この時計のコマ外ししてください」と軽く言っても、受ける方は慎重にならざるを得ません。
最悪の自体を考えるとその時計に責任を負えないからです。

さて、以上の観点から、コマ外しは「使って間もない新しい時計」に施すことをおすすめします。
品物が新しければ、錆付いていることもないでしょうし、万が一壊してしまってもパーツがあるはずなので元に戻せるからです。

●ネジ式のメタルバンドの注意

高級時計はピン式よりもネジ式のバンドであることが多いですが、細いネジなどを使っているもので内部が錆びていたりすると、錆びで固まってしまっていてドライバーでネジを回そうとしても抜けません。
無理に抜こうとすると、ネジの頭が折れてしまって、「折れ込み」という大変困った状態になります。

これを抜くのは実に大変で、へたをすると極細ドリルを使って折れ込んだネジの中心に穴を開けて抜くという荒業を使わなければいけなくなります。
よく、ネジを抜く時にネジ山にぴったり合っていないドライバーを使わないために、手元がすべってネジに傷をつけてしまうことがあります。

もちろん、ネジを抜く時にはちゃんとした工具を使って慎重にやるべきですが、誤って少々傷をつけてしまっても気にすることはありません。
時計は使っているうちに傷がつくものですし、どうしてもそのネジが気になるのなら交換してしまえばいいからです。

ただ、何度もドライバーの先を滑らせてネジ山をつぶしてしまうのはいただけません。
へたをすると抜けなくなります。
そうなる前にやめて、しかるべき修理センターや修理カウンターにもって行きましょう。

技術者がネジの抜けを防ぐために接着剤を使うことがあります。
ほとんどの新品ROLEXはこの接着剤が最初から施されています。
接着剤付きのネジはとても抜けにくく、特に太いネジはドライバーを回すのも大変です。
こういう時には、メタルバンドを固定するホルダーがあると役に立ちます。

ホルダーは入手していつでも使えるようにしておけばより安心です。
ネジロックとかロックタイトなどといったネジ用接着剤は、多用は禁物です。
ネジが抜けて困る時に使えばよいのです。

不必要に使用するとネジを抜きたい時に手間がかかります。
ネジ用接着剤は簡単に入手できます。
アロンタイトという「ネジ専用」の瞬間接着剤がおすすめです。(工具店で売ってます)

●ピン式のメタルバンドの注意

ピン式のメタルバンドは、細い割れピンによって止っているものと、カンという円形のパーツがバンドの駒の中に入っていて、それによってピンを固定しているものがほとんどです。
まず、1番注意しなければいけないことは、「ピンは無理矢理抜いてはならない」ということです。

ピンは、細い棒のような工具でたたき出して抜くのですが、新品でも非常にかたくはまっているものがあり、たたき出そうとしてもぜんぜん動かないものがあります。
工具が曲がってしまうほどたたいても動かないのです。
(特にオメガシーマスター、スピードマスターなどはピンが固い)

こういう時計は、無理に自分でコマ外ししようとしないで、専門家に頼んでしまうほうがよいでしょう。
ピン式のメタルバンドは、駒を外したときに小さいパーツが転がり落ちてなくしてしまいがちです。

ご注意下さい。


さて、次回は実際のコマ外し手順を詳しくご説明します。




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