褐色時計の随筆
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祝 褐色時計協会 様

















「百年の刻」

雪が静かにつもる夜は、
時計のふたを、そっと開けよう。

町のざわめきを消さぬよう
時計の刻を、そっときこう。

100年前のあなたは、
深く蒼い海を越え、
新たな大地に、その根をおろした。

今、再び、あなたは、
わたしのもとに帰ってきた。
フロンティアの匂いと、
雑踏のざわめきを、みちづれにして。

こんな月夜の静かな夜には、
時計のふたを、そっと開けよう。

ガス燈の灯にも似た、人の思いを
静かに耳を、かたむけよう。

100年後のわたしは、
あなたとおなじように、
新たな大地に、根をおろすだろう。

わたしの残した、小さな希望は
ふたたび、夢をのせて
静かに刻むだろう
愛のことばを、ささやきにして。

こんな静かな素敵な夜には
時計のふたを、そっと閉じよう。

こんな静かな素敵な夜には
時計のふたを、そっと閉じよう。



by 周さん


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