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「時計茶人」を自認しますわたしとしては、はなはだ遺憾なことなのですが、先日もつい時計を買ってしまいました。

※注 「時計茶人」→ 時計に ”わび・さび”を求める人

まあ、自分へは「2000年の初物だ」と、言い訳しながらの買い物で、ちょっときまりの悪い気持ちながら、やっぱりうれしかったです。

で、何を買ったかといいますと、ティソの「ヘリテージ」なのです。



ご存知、角型(スクエア型)の自動巻き。
昨年のアントレプレナーに続く限定復刻モデルです。
価格は機械時計としては高いものではありません。(ステンレスで9万くらい)
でも、サイン入りのクロノメーター証明書がついたブラックフェイスのにくい奴です。




この時計。
わたしにとってはムーブが何だとか、歴史がどう、職人技がこう、といったところを越えた魅力がありました。
そこのところを、ちょっと書いてみたいと思います。

みなさんは革バンド付きの腕時計を使うときに、気をつかいませんか?
たとえば、洗い物をするときなど、水がはねて時計にかかるのが気になったり、また夏場、汗をかいて時計におよぼす影響が気になったり、壁やドアや机にぶつけるのが気になったり・・・。
高級で思い入れの深い時計ほど、ついつい腫れ物に触るような心境になってしまうものですね。

ロレックスみたいな完全防水のブレス付き腕時計ですと、この点安心ですが、革バンド付きの機械式ウォッチですと、時計好きとしましては神経質になりがちだと思います。

とはいえ、 やはり革付き時計はブレスにはない繊細な雰囲気があります。

日常生活で思う存分使ってみたい!
と感じるところです。

革付き時計は、使い込むと実に雰囲気がよくなってきます。
ブレスとの大きな違いは、(独断と偏見ですが)

「無骨さが感じられない」

ということです。

じっくりと、しっくりと、ほっくりと使い込まれた革付き腕時計は、ちょっとくすんだ色合いになって、他には代え難いよさが出てくると思うのです。

そういうわけで、
酷使して育て上げたい革付き時計を選ぶことになるのですが、これがまたなかなか難しいところがあります。

まず、

・高価すぎてはならない(安いものでなければならない)

という条件が出てきます。
というのは、高価すぎますと、先述のごとく使うのに神経をすりへらす恐れがありますし、オーバーホール代金も馬鹿になりません。
高価な時計は、いちいち高いので、専用の革バンドも数万円することがあります。
こういう時計は、おちおちぶつけることもできません。

次に、

・単純な機構でなければならない

というのも出てきます。
これは、シンプルなものほど壊れにくいということによるものです。

さらに、

・パーツが流通している(入手しやすい)

という条件にも合致してもらいたいものです。
古くて、壊れたらパーツを作るしかないというのは、精神衛生上さけたいところです。

最後に、

・防水がしっかりしている(非防水ではない)

というのを入れておきたいです。
非防水の時計は、温度差で結露することがよくありますので、やっぱり酷使を目的に使うのでしたら、ある程度ちゃんとした防水性は必須だと思います。

以上がハード面での要求なのですが、もちろん他に大切なこと、つまり、

・デザインが気に入る(長く愛せる)ものでなければならない

というのが出てきます。
願わくば、

・そこそこの機械式であってほしい

ものです。

さて、こうなりますと、 なかなか条件に合った時計というのは見つかりません。

真っ先に思い浮かびますのは、銘機 ”ミネルバ ピタゴラス” ですが、これはすでに持っていて愛用しまくっています。
この時計には何の文句もございません。

しかし哀しいかな、どうしても角型がほしかったのです。

「ピタゴラスの角型、出して欲しいなぁ・・・」

と、常々おもっているのですが、まあ、しばらくは(数年先まで)出ないと思うのです。

ご存知の通り、角型ケースは防水性が落ちることが多いです。
それゆえに収まるムーブは、とにかく安定していて、それでいてさほど高価ではないものが日常使いに向いていると思うのです。

「大切だけど、壊れたら壊れたでしょうがないや」

と思える程度であってもらいたいのです。

使う方としては、それくらいの気持ちで使うのですが、でも、やっぱり長寿命であってほしいのです。

そういういきさつで時計遍歴を繰りかえしていましたら、先日ふとティソのヘリテージに目が向いてしまったのです。

見たときに、

「これ、いいじゃないか」

と思いました。
で、あらためてよく見ると、

「ますます、いいじゃないか」

と思いました。

そして、衝動買いしました。
今、それをつけながらこの文を書いています。

これのいいところは、少々ぶつけても水をかけても磁気のあるところに置いても、全然気にしないでいいところです。

「磨きまくったりして、腫れ物にさわるようには使わないけど、でも大切にしよう」

という、絶妙な心意気で使えるところです。
とてもオープンな気持ちになれるのです。(大げさかな)

ティソは、ヨーロッパでは広いシェアをもっています。
日本でいえば、セイコーという感じでしょうか。
ヨーロッパの大衆時計という感じでしょうか。

決して高くはないのだけど、妙に丈夫で時計としてガンガン使える。 そんなブランドだと思います。

ミネルバ、エニカー、ミドー、ロンジン、ティソ、オリス・・・。
超高級時計もいいものですが、こういう実用に徹したブランドも、それはそれで質実剛健なよさを感じます。

時計って、いろいろな楽しみ方がありますね。



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