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異性に対して自分の思いをあからさまに述べ過ぎるということは、ある意味で、
「節操のない」
ことだと思います。
言われた方の気持ちも考えず、四六時中、
「好きだ、好きだ」
と言われれば、誰だってうんざりしますし、端で聞いている方もバカバカしくなってくるものです。
まあ、言っている内容自体は、「好きです、愛しています、あなたは素晴らしい」という、別に他人に迷惑をかける類いのものではなく、むしろ「ほほえましい」類いのものなので、言っている本人が一人で熱くなっている分には、それはそれで結構なことなのかもしれません。
しかし、いくら人に迷惑をかけないからといっても、あまり度を越して自分の感情を押し付けると、それがたとえ「好き」というポジティブな気持ちであっても、受け取る方は持てあますものです。
そういうわけで、
かかる行為は、相手の気持ちを思いやることのできる成熟した大人のすることではなく、周囲の気持ちを無視した単なる「感情の撒き散らし」に過ぎず、それは結果として、さまざまな社会的摩擦とあつれきを生み出す元凶となってしまうわけで、わたしとしましては、つとめてこのようなことのないよう厳重に気をつけたい、そう思う次第です。
ところで、
わたしはパテック・フィリップが大好きです。
めちゃくちゃ好きです。
関西風に言いますと、
「めっちゃ好き」
という感じです。
あるいは、
「パテック・フィリップのこと好きやねん」
「好きで好きで、しょうがないねん」
「すっきや、すっきや、すっきやねん、どないせぇちゅうねん、おとおさぁ〜ん!」
という感じです。
そういえば昔、”かぼちゃワイン”というアニメがありましたが、いっそのことわたしもエルちゃんのように、声を大にして、
「パテック・フィリップ、だぁ〜いすき!」
と言いたいところです。
前置きはこのくらいにしまして、
パテック・フィリップは、わたしにとって、「時計ではあるが、時計ではない」という存在です。
わたしは、パテック・フィリップに出会って、誇張ではなく本当に、人生の方向性が大きく変わりました。
今の、自分の仕事、自分の考え、自分の夢、自分の交友(人間)関係、などを見てみますと、いかにパテック・フィリップから受けた影響が甚大であるかを感じることがよくあります。
ただ、それについてご説明するためには、原稿用紙200枚程度の文章量が必要でございます。
まあ、ここでつらつらと私生活について書いてもしょうがないので、それはまたの機会に譲るとしまして、今日はわたしが日頃の生活で使っているパテック・フィリップをご覧頂きたく思います。
それではまずステンレスケースの3718をご覧下さい。
これは、1989年、パテック社創業150年の年に記念に出された企画モデルです。 手巻きで、パテックとしては珍しいステンレス製です。
当時の価格は68万でした。
このステンレスケースですが、他のパテックの18金ケースに比べますと、ベゼルの仕上げ具合や質感が微妙に違います。
それゆえに、わたしはこのモデルに関しては、パテック社はケースを外注して作ったのではなかろうかと想像しています。
とはいえ、密閉度は高く、スナッチ式裏ブタも実にしっかりとしています。
裏ブタには創業150周年を記念した18金製のメダルが貼り付けられています。
今となっては、正直なところ、
「このメダルは蛇足だなぁ」
と思います。
なぜなら、メダルを貼り付けているという性質上、剥がれる危険性があるからです。
わたしは、これが気になり、一度強制的に剥がしてノリを取り去った後に、強力な接着剤を使用して強力に貼りなおしています。
そういうわけで、この3718。
気にするといろいろと気になるところはあるのですが、気にしないと、これほど使いやすいパテックもないと思います。
パテックはどれでもそうですが、与える印象よりも遥かに丈夫です。
わたしは、これをつけて、力仕事をしたこともありますし、真夏の炎天下にレジャーに行くときにも付けましたし、結構あちこちにぶつけました。
当然ながら何の問題もなく元気に動きつづけています。
夜眠れないときなどは、これを分解掃除しながらムーブメントと対話します。
実に親しみやすいパテックだと思います。
次に3796をご紹介します。
いわゆる96タイプのホワイトゴールドモデルです。
これもかなり前に購入したもので、当時の価格は180万でした。
96モデルはパテックを通るとき、避けて通れない関所であるような気がしました。
デザインの美しさには文句ありません。
また、96は、大きさが絶妙だと思います。
わたしは大きい時計も好きですが、やや小さめの時計をつけたときの方がしっくりとくるような気がします。
かといって、ロレックスのボーイズサイズですと小ぶり過ぎるような気がするのです。
96はごく一般的な紳士用腕時計とボーイズサイズのちょうど中間に位置する大きさです。
こういう大きさの時計はありそうでなかなかありません。
全体的に特に不満はないのですが、鋭角のドルフィンハンド(長短剣)は取扱が難しく、ピンセットなどで触るとすぐに傷がつきます。
アンティークなどでは相当キズのある剣がついたものをよく見かけます。
また、剣の取りつけも難しく、普通の剣押しで押すと中央部分が扁平に凹んでしまいます。
さらに、ベゼルの研磨も難しく、下手にバフがけするとすぐに角が取れて丸まってしまいます。
96は、鋭角に切られた直線的で平らなベゼルが特徴なので、角が取れるのはいかにも残念です。
一見してシンプルな時計なので、取扱も簡単そうに見えますが、技術者にとってみれば仕上げの面で扱い難い時計だと思います。
これがプラチナケースなどですと、更に仕上げも困難になると思います。
96はビジネスシーンによく似合います。
特にダークスーツにぴったりだと思います。
これは、パテック・フィリップの5000です。
パテック・フィリップのメンズ腕時計のリファレンス番号は3000番台が一杯になったときに5000番台に移行しました。
そしてこの5000と名付けられた腕時計は、区切りの良い5000という数字を使ったからか、かなり大胆なデザインを採用しています。
今もこの5000は新品で市場に出回っていますが、このホワイトゴールドモデルはすでに製造終了しているのでほとんどお目にかかりません。
買ったときの価格は200万ちょっとくらいでした。
ムーブメントは、キャリバー240というハーフローターの自動巻きを使っていて、この240は、現行の永久カレンダーのベースキャリバーなどにも使われています。
開発されてからかなりの年数が経っているので非常に安定しているムーブメントに育っています。
ローターは巻上効率を考えて比重の重い22金のものを使っています。
片方向回転巻上のムーブなので、両方向回転巻上のものと比べると、エネルギー発生率が低く、それゆえに機械に無理のない摩擦の少ない設計です。
文字盤は黒色ですが18金製で白い剣やリューズも18金製です。
パテックはどのモデルも文字盤や針、リューズなどにふんだんに18金を使っているのでケース内部に錆びが出にくく、長持ちします。
このモデルもスポーティーなデザインなのでかなりスポーティーに使っています。
過酷なシーンでもよく使っています。
デザイン的にはかなり気に入っていますが、この時計は長短剣の長さがあまり変わらないので、「一目で何時何分かがわかりにくい」という素敵な(?)性質をもっています。
まったく、かわいい時計です。
以上、パテックについてつれづれなるままに書かせていただきました。
それでは、またお逢いしましょう。
ありがとうございました。
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